あと1年、あと数ヶ月早ければ助かった。
小山和作(現・名誉所長)が大学病院勤務時代に日々診療していたのは、がん末期の患者ばかりでした。
「予防」することの大切さを臨床の現場で痛感していた小山は、健康診断の普及に奔走。
昭和53年ごろは予防医療に対する認識が浸透しておらず、待っていても人々が健康診断に訪れる時代ではありませんでした。当時の小山は、「来ないなら、こちらから出向こう」と関係機関と協力。特に健康状態が懸念される農村の方々を対象に、集団健康診断の事業に取り組みました。
あれから約40年、医療は大きく進歩しました。時代や医療は変わっても、変わらないもの。
日本赤十字社熊本健康管理センターは、日本赤十字社の独立した予防医療専門施設としての誇りを持って、これまでも、これからも、県民の皆様に寄り添いつづけます。
昭和53年、日本赤十字社熊本健康管理センターが誕生。
「自分の健康と生命は自分の手で守る」の信念のもと、創立当初から保健師や栄養士等による健診後の指導・教育にも力を入れ、がむしゃらに走り続けました。
昭和56年8月、予防医療に対する研究及び実践のすばらしさに対して、予防医学事業中央会から小山に「予防医学事業中央会賞(小宮記念賞)」が授与されました。包括的な健康支援は、予防医療の先駆けとして評価されたのです。
受診者数が飛躍的に増加した後も、スタッフが信念を持って守り抜いたのが「検査精度を絶対に落とさない」ことでした。当センターの理念である“Health for All,All for Health〜すべての人に健康を、健康に全力を〜”にも通じます。
創立以来、常に最新機器と専門スタッフを揃え、全力で県民の皆様の健康づくりを支えてきたことが集団健康診断の一翼を担ったともいえます。