検査結果の見方

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結果判定について

判定区分
A 異常ありません
B1 軽度の変化がありますが、日常生活には支障ありません
B2 年に1回検査を受けましょう
C1 6ヵ月後に再検査を受けましょう
C2 3ヵ月後に再検査を受けましょう
C3 1ヵ月後に再検査を受けましょう
D 精密検査を受けましょう
E 治療を受けましょう
F 治療・経過観察を継続しましょう

C:要再検査は、紹介状はありません。結果票を持参され指示された時期に受診してください。

D:紹介状(診療情報提供書)が添付されている場合は、指定の医療機関へ受診をお願いします。
紹介状のない方は、結果票を持参され主治医にご相談ください。

※総合判定のF判定は、ご申告いただいた治療中・経過観察中のご病気に基づき表示しております。

体格

太り過ぎや、やせすぎがないかをみます。BMI(肥満度)が正常範囲内であっても、 内臓脂肪型肥満は病気との関連が特に深いことがわかっています。

※年代やBMIを考慮して判定します。

BMI

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

A B1 B2 C
BMI 18.5~24.9 ~18.4
25.0~34.9
35.0~

BMI=体重㎏/(身長m)2

体脂肪率(%)

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

男性 標準範囲
18~39歳 ~21.9
40~59歳 ~22.9
60歳~ ~24.9

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

男性 標準範囲
18~39歳 ~21.9
40~59歳 ~22.9
60歳~ ~24.9

腹囲(㎝)

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

正常範囲
腹囲(㎝) 男 ~84.9
女 ~89.9

内臓脂肪CT

内臓脂肪量が数値と画像でチェックします。内臓脂肪の面積が100㎠を越える場合、内臓脂肪型肥満と診断されます。

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

正常範囲
内臓脂肪CT(㎠) ~99.9

聴力・視力検査

聴力検査

空気中を伝わってきた音は、外耳道→鼓膜→3耳骨(つち骨・きぬた骨・あぶみ骨)→内耳→聴神経を通って、脳に伝わります。耳の感度は、年齢によって生理的な変動があり、高齢になるにしたがい、高い音から次第に聴力が低下します。急激な聴力低下や耳鳴り、耳痛などの症状のある場合は、専門医(耳鼻科)を受診しましょう。

視力検査(5m視力)

裸眼での視力、または眼鏡やコンタクトを使用した矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズを使用している場合)をみます。最近では、コンピューターやテレビ、スマートフォンの画面などを長時間みることによりおこる眼精疲労も増えています。画面のコントラストを調節したり、目の体操をしたり、目を休めたりする工夫をしましょう。全身運動も効果的です。

視野狭窄や眼痛・かすみ・強度の視力低下などがある場合は、眼科を受診しましょう。なお、この検査では近くのものが見えにくい老視は判断できません。

眼圧

緑内障の有無を調べる検査のひとつです。眼圧が上がると視神経が圧迫され、視野や視神経乳頭に対する障害がおこります。

視野検査

視野異常は視神経細胞が何らかの理由により障害をうけて起こります。視覚障害の最上位である緑内障をはじめ、その他網膜疾患や脳神経関連による視野異常の早期発見にも有効です。

眼底検査

瞳孔から眼球の奥をのぞき、網膜を観察するのが眼底検査です。眼底の血管は、からだの外からみることができる唯一の血管で、この検査で、高血圧、動脈硬化、糖尿病の合併症の有無や血管の状態などがわかります。また、緑内障、黄斑部疾患などの眼疾患も見つけることができます。

循環器(心臓・血管)検査

血圧

血圧とは、心臓から押し出された血液が血管の壁に作用する圧力です。色々な条件で変化します。定期的に測定し、手帳などに記録して、血圧の変動の仕方や上昇する原因を知るよう心がけましょう。また必要があれば、主治医を決めて治療を受けましょう。自覚症状の有無には個人差があり、自己診断は危険です。

成人における血圧値の分類(mmHg)

下図は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

成人における血圧値の分類(mmHg)の一覧
血圧の分類(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より)

心電図

安静時の心電図と運動負荷時の心電図を調べます。心電図は、心臓の電気的活動を記録したもので、虚血性心疾患や不整脈、心臓の転位、肥大、拡張、心筋障害などの心臓病を発見するうえで欠かせない検査です。心電図に異常があるからといって、ただちに心臓病であるというわけではありません。診察所見、胸部X線所見、自覚症状などから、総合的に診断します。

精密検査などを指示された方は、放置せずに必ず検査を受けましょう。又、日常生活ではタバコ、アルコールを控え、肥満、ストレス、運動不足などにならないように、十分注意してください。

※2日ドックの方と心臓・血管セットををお申し込みの方は、安静心電図検査と運動負荷心電図検査を行います。

血圧脈波検査

一般に動脈硬化は下半身の血管から進行することが多いといわれています。血圧脈波は両腕・両足の血圧と脈波を測定し、初期〜重度の動脈硬化や足の動脈の狭窄を調べる検査です。

ABI(上腕と足首の血圧比)血管のつまり具合を診断する指標です。健常人では上腕より足首の血圧が高いのが普通ですが、足の動脈がつまると血流が悪くなり、足首の血圧が下がり、ABI値が低下します。

ABI= 足首最高血圧 上腕最高血圧

ba PWV(脈波伝播速度)血管壁の硬さを診断する指標です。心臓から押し出された血液により生じた拍動(脈波)が血管を通じて足に届くまでの速度です。この値が大きいほど血管壁が硬くなっていることを示します。

頚動脈超音波検査

頚動脈超音波検査は、コレステロールなどが頸部の血管にたまって狭くなっていないか、また血管の壁の厚さなど、全身の動脈硬化の程度を調べる検査です。更にこの動脈硬化による沈着物は、将来脳の血管にとんで脳梗塞となる危険性のものもあり、脳梗塞の予防に有用な検査です。

心臓超音波検査

超音波を使って、心臓の動きや大きさ、心臓の壁の厚さ、弁の動きや性状を調べる検査で、心疾患の診断に役立ちます。

肺機能検査

肺気腫や気管支喘息など呼吸器系の病気の診断には、胸部レントゲン検査とならんで大切な検査です。静かにしている状態での肺内のガス容量を肺活量といいます。肺活量は肺のガス交換面積の大小・肺呼吸に関する呼吸筋の状態を示します。正常値は性別・年齢・身長・体重によって異なります。

肺活量予測値とは、各人の身長・年齢・性別を加味した肺活量の推定値を出したものです。努力性肺活量は実測値です。最大に吸い込んで、最大に吐き出した最初の1秒間のガス量を一秒量といい、この一秒量が努力性肺活量の何%にあたるかを示しているのが、一秒率です。これは気道末梢の気流抵抗と肺弾性収縮力に関係し、喫煙や肺の病気の既往とも大きな関係があります。たばこを吸う方は、一秒量、一秒率の変化をみていくことが大切です。

血液検査・尿検査

肝機能

肝臓は、横隔膜直下で腹腔の右上部を占めている腹腔の中で一番大きな臓器です。肝臓は予備力が大きく2/3が冒されても1/3が健在ならば、症状は現れません。人間ドックでは、肝機能検査(血液検査)の他に、腹部超音波検査でも肝臓の形態などについて調べています。異常があった方は、症状がないからと安心せずに、定期的な検査を受けましょう。

  • 総ビリルビン…ビリルビンは、老化した赤血球が壊れて血色素が変化したもので胆汁の成分です。赤血球が大量に壊れたり、胆汁の通過障害があると血管に入って黄疸の原因になります。
  • AST[GOT] ALT[GPT]…肝臓に含まれる酵素で、肝細胞の障害(破壊)で血中に増加します。ASTは慢性肝炎以外にも、心筋の病気・骨格の病気で上昇を示します。ALTは、主に肝臓の疾患(慢性肝炎・肥満・脂肪肝など)で上昇します。
  • γ―GTP…肝臓、すい臓、血清、腎臓などに存在する酵素です。アルコールや薬物による肝障害に特に関係があります。胆汁うっ帯がある場合にも上昇します。
  • ALP(アルカリ性フォスファターゼ)…骨、腎臓、小腸、胆管、肝臓などに存在し、物質の吸収や排泄に関係しています。胆汁うっ帯で増加します。又、妊娠中、骨の成長期や骨疾患でも増加します。
  • LDH(乳酸脱水素酵素)…肝臓以外にも心臓、腎臓、肺などに広く分布している酵素で、細胞の崩壊によって上昇します。
  • コリンエステラーゼ…肝臓で生成されて、血中に分泌されています。肝実質の障害により低下し、経過の改善とともに上昇します。
  • 総蛋白…全身の栄養状態に影響を受けます。肝臓での蛋白質の生合成が悪くなると低下します。
  • アルブミン…血清蛋白の一種でアミノ酸からなっています。肝機能障害、出血、栄養不良、ネフローゼなどで減少します。
  • A/G比…アルブミンとグロブリンの比率をみたものです。
  • ウロビリノーゲン…腸内に排出されたビリルビンの一部が腸内細菌によって代謝され、つくられるものです。肝細胞障害やビリルビン産生亢進により尿中排出が増加します。
  • HBs抗原・HBs抗体・HBe抗原・HBe抗体・HCV抗体…肝炎の原因となるB型肝炎及び、C型肝炎ウイルスの有無を調べる検査です。

    ※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

    HBs抗原 陽性であればB型肝炎ウイルス(HBV)に
    感染している。
    HBs抗体 ・陽性であれば過去に感染したことを示す。
    ・HBVワクチンを接種した場合にも陽性となる。
    HBe抗原 陽性であれば一般にHBVの増殖力が強いことを示す。
    HBe抗体 陽性であれば一般にHBVの増殖力が低下していることを示す。
    HCV
    抗体力価
    高力価 C型肝炎ウイルスに感染している可能性が高い状態。
    中力価
    〜低力価
    現在C型肝炎ウイルスに感染している可能性がある。

    ※上表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

脂質代謝

血中コレステロールや中性脂肪は血液の中の脂肪です。これらが高すぎると動脈壁に沈着して動脈硬化の原因となります。コレステロールの中でも、動脈硬化の予防と関係があるとされているのがHDLコレステロールで善玉コレステロールと呼ばれています。細胞にたまったコレステロールを引き出して、肝臓に送り返す働きがあります。

これと反対に、動脈硬化を進行させるのがLDLコレステロールで悪玉コレステロールと呼ばれています。肝臓で合成されたコレステロールを全身の組織に運び込む働きがあります。中性脂肪は、食事によって変動をうけやすい物質です。特に糖質と関係が深いので、高い場合はアルコール・砂糖・果糖類は控えましょう。non-HDLコレステロールとは総コレステロールからHDLコレステロールを除いたもので、数値が高いと動脈硬化のリスクが高まります。

糖代謝

糖尿病の有無を調べる検査として、人間ドックでは尿糖、空腹時血糖値、75g糖負荷試験、HbA1cの検査を行っています。胃切除手術を受けた人なども血糖値が高くなることがあります。

  • 尿糖…通常は血糖値が170〜180㎎/dl以上にならないと、尿糖が出ない仕組になっています。(個人差があります。)したがって、軽い糖尿病の場合には、尿検査だけでは発見されないことが多く、また逆に血糖値が高くなくても尿糖が出ることもあり(腎性糖尿)、尿検査だけでは判断できません。
  • 空腹時血糖値…血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。空腹時血糖値とは検査前夜から、10時間以上絶食した状態で測定した値です。

    ※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

    100未満 正常型
    100〜109 正常高値
    110〜125 境界型
    126以上 糖尿病型

    (日本糖尿病学会による)

  • 75g糖負荷試験…75gのブドウ糖が入ったジュースを飲み、1時間後、2時間後の血糖の変動から正常型、境界型、糖尿病型の3つに判定します。血糖値は変動しやすいので、1回の検査で糖尿病型と判定されても軽症の場合は日を改めて検査すると境界型、正常型に変わることがあります。

    ※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

    空腹時 70〜99mg/dl 尿糖(-) 正常型にも
    糖尿病型にも
    属さないもの
    126mg/dl以上
    60分後 180mg/dl未満 または
    120分後 140mg/dl未満 200mg/dl以上
    正常型 境界型 糖尿病型

    ※正常であれば、朝食前の血糖値は70〜99㎎/dlであり、朝食前の血糖値が126mg/dl以上である場合は糖尿病型と診断されます。またブドウ糖液を飲んで血糖値を急激に上げた場合、2時間後の血糖値が200㎎/dl以上あれば糖尿病型と診断されます。

    75gブドウ糖負荷試験と判定基準

    下図は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

    75gブドウ糖負荷試験と判定基準のグラフ
    負荷後2時間血糖値(mg/dl) 日本糖尿病学会
  • HbA1c(ヘモグロビンA1c)…血液中の赤血球にヘモグロビン(血色素)という酸素を運ぶ赤い色素があります。ヘモグロビンは糖と結合し、寿命がつきるまで糖と結びついて離れません。ヘモグロビンの寿命は約4ヶ月ぐらいのため、この検査により過去1〜2ヶ月の血糖の状態がわかり、糖尿病コントロールの指標となります。
    なお、平成25年度から厚生労働省通達によりNGSP値(国際標準値)を表記しております。

尿酸

尿酸とは、体の中のエネルギーの燃えかすで、体内で血液中に溶けています。たまった尿酸は腎臓から尿の中へ捨てられます。しかし、尿酸が体内で増えすぎると、血液中に溶けにくくなり、溶けにくくなった状態を「高尿酸血症」と呼びます。

高尿酸血症の状態が長い間続くと、手足の関節が腫れたり痛んだりする「痛風」という病気を引きおこします。高尿酸血症は、肥満、飲みすぎ、食べすぎ、運動不足、ストレスなどいくつもの要因が重なっておこります。

腎機能検査

腎臓は、体に不要なものを尿として体外に排出したり、ホルモンを分泌して体の中の水分や血圧・電解質などを調節する働きをしています。尿素窒素やクレアチニンは体の中の不要な物質です。腎臓の働きが悪くなると、体外に排出できず、血液中に上昇します。推算GFR値(eGFR)は血清クレアチニン値と年齢・性別から算出した値で、腎臓の働きを評価する指標です。(単位:ml/分/1.73㎡)

尿蛋白/クレアチニン比(P/C比)は1日の尿蛋白排泄量を推定し腎臓の働きを見ます。尿アルブミン/クレアチニン比(A/C比)は尿蛋白や尿アルブミンの出現により腎臓の働きを評価します。糖尿病性腎症の早期発見に有用です。

膵機能検査

アミラーゼは、すい臓から分泌される消化酵素のひとつです。唾液の中にも含まれています。病気のない人でも一部血中に移行し、更に尿中にも排泄されていますが、すい臓に障害があるときは、これが血中や尿中に増加します。胆のうや腎臓の病気などでも上昇することがあります。病的でなくても軽度上昇することもあります。

腹部超音波検査でもすい臓の形態的変化を調べていますが、膵尾部など観察しにくい部位がありますので、血液・尿検査なども含めた総合的な判断が必要です。

血液一般

血液の成分は(赤血球、白血球、血小板)と血漿(液体成分)に分けられます。

  • ヘモグロビン(血色素量)…赤血球に含まれる蛋白質と鉄から成るものが、血色素(ヘモグロビン)です。赤血球の働きの中心となっています。その中の鉄が酸素の運搬に特に関係しています。
  • ヘマトクリット(赤血球容積値)…一定の血液量に対する赤血球の割合(容積)をパーセントで表したものです。
  • 赤血球数…赤血球は血液の成分の1つです。私達の体は、酸素と栄養素をもとに活動していますが、その酸素を肺から各組織へ運ぶ働きをしています。
  • MCV(平均赤血球容積)…赤血球1個の平均的容積、すなわち赤血球の大きさの指標となるものです。
  • MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)…赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的にあらわしたものです。
  • MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)…赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比を%で表したものです。
  • 血清鉄…体内の血清中に含まれている鉄分のことです。鉄が不足しておこるのが鉄欠乏性貧血です。1日のうちでも生理的な変動があります。
  • 血小板数…血小板は出血を止めるという重要な働きを持ち、この値が極端に減少すると出血をおこしやすくなります。
  • 白血球数…白血球にはいろいろな種類がありますが、全体として生体防御の働きをしています。たとえば、感染症があると一般的に白血球が増加します。白血球数には個人差があり、一日のうちでも変動します。
  • 白血球分類…この検査は単項目で異常の判断ができるものではなく、他の検査と併せて総括的に判定しております。

※赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血清鉄は貧血の有無を知る目安になり、MCV、MCH、MCHCは貧血の場合、その種類の判定の目安となります。

血清反応その他

  • リウマチ因子…この反応は、慢性関節リウマチの人に高い値を示します。その他、肝臓疾患やウイルス感染症などでも高い値を示すことがあります。正常な人でも高齢になるほど高い値の比率は高くなります。自覚症状、診察所見を総合して、関節リウマチの診断を行います。リウマチ因子のみ高い場合は心配いりません。
  • CRP(C反応性蛋白)…CRPは急性炎症や組織の破壊があると、数時間後に血清中に出現します。そして病気の活動期間中に持続して存在しますが、病気が回復してくるにつれて減少します。CRPの上昇の程度と炎症の程度はほぼ一致します。
  • 梅毒検査(RPR、TPHA)この検査はRPRとTPHAという2法の検査を実施しています。基本的には判定あるいは既往の有無を判定しますが、RPRの陽性にはまれに慢性疾患や自己免疫疾患などが疑われる場合があります。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは、腫瘍細胞から多量に産生される特殊な物質ですが、正常な細胞にも少量存在しています。数値が高い場合には、精密検査や定期的な経過観察が必要です。

  • CEA…主に消化器系の腫瘍の指標です。健常人でもヘビースモーカー(高喫煙者)や高齢者で増加傾向が見られます。
  • AFP…主に肝臓の病変が疑われるときに上昇します。
  • PSA…高値の場合、前立腺がんの可能性が高くなりますが、前立腺肥大でも高くなる傾向があります。
    ※PSAV…PSAの前回と今回の数値の変動をみます。PSAが正常範囲でもPSAVが高値の場合は前立腺がんの可能性が高くなります。(対象はPSA検査を2回以上受けている方のみ算出します。)
  • CA125…卵巣がん、子宮がんで上昇します。子宮内膜症でも上昇します。婦人科系疾患以外では、すい臓がん、大腸がん、肺がんなどでも上昇します。
  • CA19-9…すい臓がん、胆道がん、胃がん、肝がん、大腸がん、卵巣がんなどで上昇します。なお、がん以外でも肝硬変、肝炎、胆石、膵炎、糖尿病など幅広い疾患で上昇する場合があります。

尿検査

  • 尿蛋白は、病気がなくても入浴後、運動後、発熱などで出ることがありますが腎臓に異常がある場合にも陽性となります。
  • 尿潜血は、尿の中の血液の有無をみる検査です。腎臓〜尿管〜膀胱〜尿道のいずれかに出血がある場合に陽性となります。腎炎以外に腎結石、尿管結石、腎下垂、遊走腎などでも見られます。病気がない人でも陽性に出ることがありますので、尿潜血陽性の人はその程度に応じて原因を調べたり、経過観察を行って下さい。
  • 尿比重は、尿中に溶けているものの濃度を調べる検査です。水分摂取や発汗により大きく変動します。腎機能異常の発見の手がかりとなります。
  • 尿白血球、尿亜硝酸塩は、尿路系の炎症の有無を調べる検査です。
  • 尿沈渣は、尿を遠心力沈殿して沈殿物を顕微鏡で観察する検査です。赤血球や白血球や 円柱細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、細菌などの有無や数を調べます。慢性腎炎、腎盂腎炎などの病気がかくれていることもありますので指示された方は精密検査をうけてください。※尿沈渣は必要者のみ検査します。
  • 尿糖は、血液検査/糖代謝の欄を参照
    血液検査/糖代謝
  • ウロビリノーゲンは、血液検査/血液一般の欄を参照
    血液検査/血液一般

胸部検査

胸部X線

胸部X線撮影では、肺はもちろんのこと心臓の大きさや形、大動脈、肺動脈などの血管の状態も調べています。ドック受診が2回以上の方は、前回と比較して判定しています。新しい陰影がみつかったり、陰影がはっきりしなかったり、自覚症状(咳、痰、血痰など)がある場合は、断層写真(CT検査)、PET-CT検査などの、詳しい検査をおすすめしています。

肺がんの高危険群(ハイリスク群)

  • 40才以上の方
  • 喫煙指数(1日のタバコの平均本数)×(喫煙年数)が400以上の方
  • 自覚症状のある方(なかなか治らない咳、痰、血痰、胸痛)
  • 血縁者にがんの多い方

胸部CT検査(ヘリカルCT)

ヘリカルCTは、体をらせん状にスキャンして得た情報から輪切りの断層写真の撮影を行います。従来の胸部X線検査では把握しづらかった心臓や骨に隠れた病変や1センチ以下の小さな病変も発見できます。また、喫煙による肺の変化(肺気腫など)や結核などの感染症なども早期発見が可能です。また、胸部に含まれる臓器(心臓や胸部大動脈など)も撮影するため、冠動脈の石灰化などもわかります。

胸部CT検診を特にお勧めする方

  • 喫煙している方、以前に喫煙歴のある方、同居家族に喫煙者がいる方
  • 咳や痰、胸痛など呼吸器系の自覚症状のある方
  • 家族・親戚に肺の病気のある方
  • 粉塵を吸いやすい環境で仕事をしている方

上部消化管検査

X線検査

バリウム(造影剤)を飲んで胃粘膜にバリウムを付着させる為の体位変換を行い、角度をかえながらX線撮影し、胃粘膜の凹凸変化を写しだす検査です。主にがん・潰瘍・ポリープ・粘膜の炎症などがわかります。しかし、潰瘍の状態やがんの有無などはっきりしない場合には内視鏡検査が必要です。精密検査の指示のあった方は必ず内視鏡検査を受けましょう。

内視鏡検査

食道・胃・十二指腸の観察を行います。内部の色調や微妙な変化がわかり、胃炎やポリープ、胃潰瘍、食道がん、胃がんなどが発見されます。X線検査でははっきりしないところを内視鏡検査によって診断することができます。また、異常の疑いがある場合は組織をつまみ取ってそれが悪性かどうかの組織診断をすることができます。(組織検査の結果は、原則後日郵送にてお知らせします。)

血清ペプシノゲン検査

萎縮性胃炎の強い人に胃がんが発生しやすいことが知られています。ペプシノゲン検査は、この萎縮性胃炎の程度を調べる検査です。精密検査が必要な方は必ず胃内視鏡(胃カメラ)による検査を受けてください。

ヘリコバクターピロリ菌検査

ピロリ菌に対する抗体の有無を調べます。ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息している細菌で、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となることがわかっています。また、胃がんの発生にも関与しているといわれています。

ピロリ菌除菌治療した方も、この血液抗体法検査は陽性となる場合があります。除菌できたかどうかの確認は、除菌した主治医へご相談ください。

ピロリ菌陽性の方へ

現在、胃の症状がある人、特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を繰り返す人では、除菌を行うことによって、潰瘍の治癒を速くし、再発を抑えることができます。

日本へリコバクタ―学会の報告による除菌成功率は、一次除菌で70~90%、二次除菌で80~90%です。除菌を希望される方は、主治医または当センター外来にご相談ください。

胃の健康度評価:胃がんが発生しやすい人は?

ピロリ菌(HP)感染によって慢性萎縮性胃炎が進んでいきますが、どの程度胃炎が進行しているかを調べるのがペプシノゲン(PG)検査です。胃酸(ペプシン)の前駆物質であるPGを計ることによって、胃がんのリスクがわかります。

ピロリ菌感染がなく、PG陰性の人(HP-・PG-)は、胃がんはほとんど発生しません。ピロリ菌に感染すると胃がん発生のリスクが高くなり、PG陰性(HP+・PG-)より、PG陽性(HP+・PG+)の方がリスクが高くなります。さらに萎縮性胃炎が進んでくると、ピロリ菌が住めない状態となってしまい(HP-・PG+)、最も胃がんが発生しやすくなります。

したがって、胃がんリスクが高いと評価された人は定期的に上部消化管検査を受けることが推奨されています。また、除菌治療で除菌できた人も今後も定期的な胃の検査が必要です。

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

胃がんリスク 上部消化管検査
HP(-)PG(-) 低い 健康な胃粘膜で
胃がんのリスクは低いと
考えられます。
HP(+)PG(-) 中等度 胃がんのリスクが
やや高いと考えられます。
HP(+)PG(+)
HP(-)PG(+)
高い 胃がんのリスクが高いと考えられます。
定期的な胃内視鏡検査が必要です。
除菌治療で
除菌できた人
低い 除菌で胃がんのリスクは
低くなっていますが、
今後も定期的な胃の検査が必要です。

下部消化管検査

免疫便潜血検査(2日法)

免疫便潜血検査は、人間の血液にのみ反応する検査で、特に大腸からの出血の有無を調べます。肉眼では観察できないような微量の血液にも反応します。痔や月経時の出血でも陽性となることがあります。

便潜血陽性者の4人に1人の割合でポリープまたはがんが発見されています。
便潜血検査や下部大腸内視鏡検査で異常のあった方は、指示に従って全大腸内視鏡検査などの精密検査やポリープ切除などの処置を受けてください。無症状でも40歳以上の方は3〜5年に1回程度の全大腸内視鏡検査をおすすめします。

大腸(直腸S状結腸)内視鏡検査

日本人の食生活が欧米化し、脂肪食や肉類摂取の増加、野菜や穀物類の摂取の減少に伴って、大腸がんや大腸ポリープが増えています。

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を入れて、腸の粘膜を直接観察する検査です。当センターでは、大腸がんや大腸ポリープができやすい直腸、S状結腸を中心に観察しています。

全大腸内視鏡検査

全大腸内視鏡検査では、検査前に腸管洗浄剤を服用し、肛門から盲腸まで大腸全体の粘膜の観察を行います。

大腸の粘膜からイボ状に隆起したものを大腸ポリープといいます。大腸ポリープの発生部位は、直腸、S状結腸が70%を占めています。ほとんどが良性の腺腫ですが、約15%が早期がんです。早期発見、早期切除が大切です。ほとんどのポリープは内視鏡下切除術で治療できます。ポリープをそのままにしておくとがん化する恐れがあります。経過観察の指示があった方は、定期的に検査を受け、ポリープ切除が必要と指示された方は、早めに専門医を受診してください。ポリープ切除後は年に1回程度の経過観察を行ってください。

大腸がんのできる位置と血便の関係

上行結腸から肛門まで進むうちに、便は徐々に固まって、固形になっていきます。そのため、がんが大腸のどこにできるかによって、血便の状態も変わってきます。

上行結腸〜横行結腸のがん

便は液状なので、出血があっても便と混じってしまいます。
そのため、肉眼では「血便」と確認できないことが多いです。

横行結腸〜S状結腸のがん 便が硬くなってくるため、血液が肉眼で確認できるようになります。がんが大腸の管にぐるりとできていれば、便の表面全体に血液が付き、がんが一部であれば筋状に血が付きます。

直腸がん

がんの位置が肛門に近いため、真っ赤な血便になります。また、がんが大きい場合、排出部分が塞がれるため、便が細くなります。

腹部超音波検査

腹部超音波検査

超音波検査は、人間の耳には聞こえない周波数の高い音の振動波を腹部の各臓器にあてて、各臓器の形態、腫瘤や結石、脈管の拡張などがないかを調べる検査で、人体には無害です。当センターでは、肝臓・胆のう・胆管・すい臓・腎臓・脾臓・腹部大動脈を調べています。

よく見られる所見

脂肪肝

肝臓に脂肪(中性脂肪)が蓄積した状態です。4~5名に1人の割合で認められます。
原因としてアルコール、肥満、糖尿病、薬剤などがあり、生活習慣を改善することをお勧めします。

肝腫瘤(血管腫)

超音波検査でみつかる腫瘤のほとんどは、血管腫とよばれる良性の腫瘤で、癌ではありません。25人に1人くらいの割合でみつかります。大きさや数が変化することがありますが、ほとんど心配いりません。

胆のう結石

胆のうにできた石のことで、25人に1人くらいの割合でみつかります。その約70%がコレステロール結石で、油っこいものを摂りすぎる人や、野菜不足の人に多くみつかります。ほとんどの方に症状はありません。

・精密検査を指示された方:高齢になると手術の危険度も増し、胆のう癌の合併頻度も高くなります。必ず病院を受診して下さい。 ・経過観察を指示された方:指示された時期に検査を受け経過をみて下さい。油っこいものや酒類の摂りすぎは発作の誘因となりますので注意しましょう。

胆のうポリープ

胆のう粘膜にできたイボと考えて下さい。コレステロールポリープという良性のものがほとんどで、10人に1人くらいの割合でみつかります。大きさや数が変化することがありますが、ほとんど心配いりません。

肝のう胞・腎のう胞

いずれも肝臓や腎臓に水の入った袋ができていると考えて下さい。老化現象の一種で、70才以上になると、3人に1人くらいの割合でみつかります。大きくなったり数が変化することがありますが、ほとんど心配いりません。

腎結石

腎臓内の腎盂や腎杯にできた石のことで、30〜40才代の男性に多く、50人に1人くらいの割合でみつかります。

膵のう胞

肝臓や腎臓にできるのう胞と同じような、特に病的なものではないのう胞のほかに、腫瘤や炎症に関連したのう胞があり、原因や病態によって治療や慎重な経過観察が必要な場合があります。結果の指示に必ず従って下さい。

腹部大動脈瘤

腹部大動脈の径が拡大しコブ状になってきたものです。多くの大動脈瘤は徐々に拡大が進行するため、はじめはほとんど症状がありません。径が拡大して50〜60㎜になると破裂の危険性が出てくるため、慎重な経過観察が必要です。

膀胱超音波検査

膀胱超音波検査

尿を十分に溜めた状態で行います。主に、膀胱腫瘤(がんなども含む)、膀胱結石などの有無を調べています。

よく見られる所見

膀胱腫瘤

膀胱の壁にできる腫瘤です。精密検査の必要な方は、専門医(泌尿器科)を受診して下さい。

膀胱結石

膀胱内にできた石のことです。

歯周病リスク検査

唾液による歯周疾患検査です。唾液中のHb(ヘモグロビン)やLD(乳酸脱水素酵素)を測定しリスク判定を行います。

唾液検査でわかること

結果の見方

※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

歯周病リスク
判 定
唾液中LD
陰性 (-) 陽性 (+)
唾液中Hb
陰性 (-) 低 リスク 低~中リスク
陽性 (+) 中~高リスク 高 リスク
  • 唾液中Hb(ヘモグロビン)・・・歯肉からの出血の程度をみます。
  • 唾液中LD(乳酸脱水素酵素)・・・歯周組織細胞の損傷の程度をみます。

歯周病リスク検査の結果が「高リスク」の場合、歯周病の可能性が高まります。

この検査は、歯周病の診断をするものではありません。歯周病の予防や治療の参考としてご活用ください。

 歯周病は、歯を支える組織(歯周組織)が主に炎症によって破壊される病気で、初期の頃はほとんど症状がなく、気づかないうちに少しずつ進行していきます。そのため気づいたときはすでに重症化ということもあります。また糖尿病や心臓など全身に影響を及ぼすことがわかっています。
健康を保つためにも若いうちからの歯周病の予防や治療は重要です。

症状がある方は、今回の結果に関わらず歯科医院の受診をお勧めします。

 口腔内の健康を維持するにはオーラルケアが大切です。
歯並びや歯周病の進行状況などにより口腔内の状態は一人ひとり違うので、毎日しっかり磨いているつもりでも、磨きにくい所などは磨き残しが生じます。
歯科医師や歯科衛生士から指導を受けご自身の口腔内にあった磨き方を実践しましょう。

オーラルケアには、

①セルフケア

予防の基本が歯磨きです。

  • 毎日の丁寧な歯磨き
    小刻みに動かす
    力を入れすぎない
    寝る前は時間をかけて磨く
  • 歯ブラシだけでは落とせない歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロスを使う

②プロフェッショナルケア

口腔内の状態に合わせて年に数回は受診しましょう。

  • 歯や歯肉の状態のチェック
  • 歯石除去や歯のクリーニング
  • 磨き方のアドバイス

セルフケアとプロフェッショナルケアの両立で口腔内の健康を守っていきましょう。

甲状腺検診

甲状腺超音波検査

形態や腫瘤の有無を調べます。甲状腺のう胞、甲状腺腫瘤、石灰化、甲状腺腫大等がわかります。

よく見られる所見

甲状腺のう胞

甲状腺に水の入った袋ができていると考えて下さい。良性のもので特に心配いりません。

甲状腺腫瘤

良性と悪性に見られます。超音波検査でよくみつかるのは、腺腫とよばれる良性の腫瘤です。再検査の指示のあった方は、定期的に検査を受けて下さい。精密検査の必要な方は、専門医を受診して下さい。

甲状腺石灰化

甲状腺の組織の一部が硬くなった状態で特に心配いりません。

甲状腺腫大(びまん性甲状腺腫)

甲状腺が腫れている状態です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、慢性甲状腺炎(橋本病)などでみられます。精密検査の必要な方は、専門医を受診して下さい。

甲状腺血液検査

  • TSH(サイロトロピン)…下垂体からでてくるホルモンで、甲状腺刺激ホルモンです。甲状腺の機能が低下すると増加します。また、機能が亢進したときは減少します。
  • FT4(遊離サイロキシン)…甲状腺ホルモンの一種です。甲状腺の機能が亢進すると増加し、機能が低下すると減少します。

乳房検診

乳房超音波

しこり(腫瘤)の発見に優れています。乳腺のう胞、乳腺腫瘤等がわかります。

マンモグラフィ

乳房を2枚の圧迫板ではさんで、X線撮影を行います。しこりとして触ることのできない、おもに微細な石灰化(非触知乳がん)等がわかります。

よく見られる所見

乳腺のう胞

乳管が閉塞し乳管内の分泌物の貯留したものと考えて下さい。月経周期によって大きさや数が変化したり、しこりとして触れることもありますが、心配いりません。

乳腺腫瘤

良性と悪性とに分けられます。再検査の指示があった方は、定期的に検査を受けて下さい。精密検査の必要な方は、専門医(乳腺外科)を受診して下さい。

石灰化

良性と悪性とに分けられます。石灰化の形態・性状・分布等で、悪性を疑う場合があります。精密検査が必要な方は専門医(乳腺外科)を受診してください。

※異常がなくても、月に1回は乳房セルフチェックを行いましょう。

脳血管・脳機能

頭部MRI+MRA検査

頭部MRIは、電磁波を利用して脳の断面を調べる検査で、無症候性脳梗塞や脳出血瘢痕、脳腫瘍、脳萎縮などがわかります。

よく見られる所見

ラクナ梗塞

脳の深部の細かい血管に起きる直径15mm以下の脳梗塞。脳梗塞全体の中で最も頻度が高く、日本人に一番多いタイプです。加齢と共に多くみられ、高血圧が危険因子として挙げられます。

虚血性変化

大脳白質内の細小動脈の動脈硬化性変化で、慢性的に脳の血流が低下している状態。加齢によるものや高血圧との関連があります。

加齢性変化

大脳白質内に軽度の動脈硬化性変化がみられますが、加齢による変化で病的なものではありません。

脳梗塞

脳梗塞発症後の梗塞の部位や壊死の範囲を見ることができます。主治医にて経過観察が必要です。

くも膜のう胞

くも膜下腔に発生し、くも膜によって囲まれているのう胞(液の入った袋)で無症状のことが多く、治療の必要はありません。

脳萎縮

脳の萎縮がみられますが個人差が大きく、全てが病的なものではありません。急にもの忘れがひどくなるようであれば医療機関での精密検査が必要です。

MRAは、造影剤を使わず脳の血管を見る検査です。くも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤や脳動脈奇形その他、血管の狭窄・閉塞もわかります。

よく見られる所見

未破裂脳動脈瘤

脳の血管の一部が風船状に膨らんでみえる状態で、これが破裂するとくも膜下出血を引き起こします。通常100人に1〜2人の割合で発見され、くも膜下出血の家族歴がある方には高い頻度で発見されます。指示に従って精密検査を受けてください。

脳血管狭窄

脳の血管が動脈硬化を起こし狭窄を起こしている状態です。脳の血流が悪くなり、この状態がさらにすすむと脳梗塞を引き起こす場合があります。指示に従って精密検査を受けてください。また、動脈硬化がこれ以上にすすまないよう危険因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の治療や生活面(運動・食事など)の注意を行いましょう。

脳動脈奇形

脳動脈と静脈の間に異常な血管があって、動脈と静脈が直接つながってしまう病気です。この異常な血管を脳動脈奇形と呼んでいます。異常な血管は比較的もろく破れやすいため、脳出血をおこすことがあります。指示に従って精密検査を受けてください。

あたまの健康(認知機能)チェック

対話(質問)形式の簡単な検査で認知機能を0~100で数値化し、認知機能の状態を表します。数値が高いほど認知機能が健全であるといえます。

認知機能の継続的な低下が見られたり、数値が前回値より著しく低下する場合には、認知機能低下のリスク要因である生活習慣病やライフスタイルの改善に努めましょう。また定期的な認知機能のチェックを心がけましょう。

婦人科検診

子宮頸部細胞診

ブラシで子宮の入口や頸管の細胞を採り、顕微鏡で見る検査です。子宮頸部細胞診はベセスダシステム2001を用いています。(生理中の方は、検査できません。)

※その他所見により、再検査や治療の指示があった場合は、医療機関を受診してください

HPV検査

子宮頸がんの原因となるウイルス感染の有無を調べる遺伝子検査です。

※HPV(ヒトパピローマウイルス)は、女性の8割が一度はかかるといわれるありふれたウイルスです。感染は一過性のことが多く、ウイルスのほとんどは自然に排除されます。ただし、長期間にわたり感染が持続した場合、その一部が細胞に変化をもたらし、前段階(前がん病変)を経て子宮頸がんに進行すると考えられています。

経腟超音波

経腟超音波で検診を行っています。経腟超音波では、腟内に細長い超音波器具を挿入し、検査します。子宮筋腫や卵巣の病気などを発見することができます。

婦人科検診でよく見られる所見

子宮筋腫

30歳以上の女性には比較的多くみられます。

こんな時には精密検査が必要になります

  • ・筋腫が大きい時(手拳大以上)
  • ・貧血が続く
  • ・月経量が多い(凝血)過多月経
  • ・頻尿、下腹部の不快感
  • ・月経困難
  • ・不妊
  • ・不正出血

卵巣腫瘤

状態によっては、精密検査が必要になります。

骨密度検査

骨密度測定 DEXA法

2種類のエネルギーのX線を測定部位に当てることにより、骨成分を他の組織と区別して骨成分の密度を測定する方法です。人間ドックや施設内健診では大腿骨頸部を、施設外健診では前腕部を測定します。

YAM骨密度比

若年成人平均値を100%として、現在の骨密度と比べたものです。骨粗鬆症の判定にはYAM骨密度比を用います。

同年代骨密度比

同年代の平均値を100%として、現在の骨密度と比べたものです。年齢が高齢になると同年代骨密度が高くても、骨粗鬆症の判定に該当することがあります。

要精密検査(D判定)の場合

専門医(整形外科、場合によると甲状腺専門医・代謝内科など)で精密検査を受けてください。骨粗鬆症の診断には、骨密度測定結果の他、姿勢、腰痛などの症状、脊椎のX線(骨折の有無など)、血液検査、骨折リスクソフト(FRAX®)などを調べて総合的に行います。

再検査(C判定)の場合

症状やその他の検査によっては骨粗鬆症の診断になることもあります。指示された時期に、専門医または当センター再検外来を受診してください。

すでに骨粗鬆症の内服治療中の方は、主治医にて定期的に骨密度検査や血液検査をお受けください

骨密度の変化(大腿骨頸部)

下図は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

骨密度の変化のグラフ(大腿骨頸部)

骨密度の変化(前腕部)

下図は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

骨密度の変化のグラフ(前腕部)